「段ボール箱を改造して作るイス」の強度を、比較してみました

2021年3月20日

インターネットで災害時に便利な「段ボール箱を改造して作るイス」の紹介記事を見つけました。そのイスを実際に作ってアイロップの圧縮試験機で強度試験を行いました。果たしてその結果は!

段ボール箱に座ったことありますか?

そもそも空っぽの段ボール箱に座ったことのある方はいますか?子供の時に乗ったことがあっても、大人になるとまずありませんね。理由は簡単、段ボール箱に座ると、箱が簡単に壊れてしまうからです。

私も動画撮影のために”ダメでもともと”と思い座ってみましたが、やっぱり箱は壊れました。(私が太ってることもあるでしょうが・・・)そもそも普通の成人男性が座って耐える段ボール箱はなかなか無いのでは・・・。だから、段ボール箱を改造して座面強度を強くする必要があるのだと思います。

そこで今回は、警視庁の防災アイデアで紹介されていた2種類の段ボールで実験をしてみました。(尚、この実験は段ボールを改造したことで、強度にどのような変化が現れるかを確認することが目的であり、改造アイデアに対しての評価ではありません)

実験準備をします

今回は実験結果を比較しやすくするため、箱の長さ×幅×高さは全て同じ寸法にした物を3種類準備しました。A段のシートで出来ています。

【ポイント】
A式の段ボール箱の圧縮強度(上から押された時の強さ)は、長さと幅の合計である「箱の周辺長」によって変化します。

早速組み立ててみました。写真の一番奥に映っているのが、通常のA式ケースです。(ミカン箱とも呼ばれるポピュラーな箱です)真ん中は台形に改造したもの。一番手前は段ボール箱の側面を真ん中で曲げて、ひもで縛っています。わかりにくいので実際に自宅で作ってみた時の写真もつけておきます。

白色の荷造りヒモで縛った部分がポイントです。

【A式って何?】
JIS規格では「0201形箱」と言います。業界では「A式ケース」と呼ばれます。

アイロップインフォメーション「今さら聞けない段ボールの話②」

圧縮試験をしました

これがアイロップ株式会社にある圧縮試験機です。定盤のサイズは、間口2メートル 奥行き1.5メートル。中に入れた貨物に最大10トンの圧縮荷重をかけることが可能です。

当社のような民間企業でこのような大型試験機を持っている会社は無いと言い切れる巨大さです。(あったらごめんなさい)

それでは3種類の箱の試験結果を紹介します。

通常のA式ケースの試験結果です。圧縮強度は250kgfでした。材質や箱の大きさから考えると、特に問題の無い数値です。

因みに、矢印の先にあるような箱の変形(折り目)のようなものが出ると、箱が座屈してしまっており、これ以上圧縮試験を続けても、箱が潰れるだけなので、この時点で試験は終了となります。

次は台形に改造した箱です。圧縮強度は130kgfでした。箱の側面が斜めになった為、A式ケールよりも圧縮強度が低下したと考えられます。とはいうものの、側面が斜めなので、座りやすくなっている点では、おススメの形状です。

最後は、段ボール箱の側面を折り曲げてヒモで縛った箱です。これは普通のA式ケースより圧縮強度がアップしました。

加工が比較的簡単なのに、しっかり強度UPしています。これはなかなか優れものですね。

実験結果のグラフです。縦軸が圧縮荷重を示します。グラフではN(ニュートン)という単位を使っています。グラフの山が一番高い所が「最大圧縮荷重」になります。横軸は変形量を㎜単位で示しています。変形量とは圧縮されたことで箱が潰れ、低くなってしまったことを表しています。

段ボール箱の圧縮強度について解説します

通常段ボール箱の中には荷物が入っているので、上から押しても潰れにくいですが、空箱の場合は箱の中央部分は下に支えになるものが無いため、強度がありません。だから側面の上になる箱の周囲が丈夫になります。

周囲の中でも、角の部分は丈夫になります(王冠みたいに見える絵は、強度の分布を表しています)

これは段ボールシートを曲げることで、折れ曲がりに難くなり強度が増加するからです。

だから、箱の側面を曲げて作ったイスは、シートを折り曲げた部分が増え、圧縮強度が向上したようです。

動画でも紹介しています

今回の実験の様子は、アイロップチャンネルでも紹介しています。圧縮試験はとっても地味な試験。時間がかかる割に変化が少ない・・・ということで、動画は目いっぱい時間を加速させてます。ぜひご覧ください。


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