段ボールの印刷 -包装設計のススメ10-

2022年1月20日

シェアする

twitter facebook LINE


みなさん、段ボールの印刷ってどのように行われているかご存知ですか。家庭用プリンターも普及して、印刷ってすごく身近ですよね。
最近ではスマホの普及やコンビニでも簡単に印刷出来るので、持ってない人がまた増えたかな・・・?
でも私達の身近な印刷といえば、A4やA3サイズ。段ボールのような大きなものはどうやって印刷されているのでしょうか?

ハンコで印刷します

段ボールは製箱する前のシートの状態で印刷を行います。
印刷する部分だけのハンコを作り、これを透明の大きなフィルムに取り付けていきます。このフィルムを段ボール用の印刷機プリスロ(プリンタースロッターの略称)のローラー部分に取り付けます。こうすることで、大きな段ボールシートの印刷する部分だけにハンコが当たるようになります。

ハンコの話

ハンコのにはゴム版樹脂版の2種類があります。ゴム版は名前の通りゴムの板を職人さんが手彫りして作るものでした。(レベルは異なりますが”消しゴムスタンプ”と同じような作り方ですね。)
これに対して、樹脂版は、機械で作ることが出来ます。紫外線を当てることで固くなる樹脂を使用し、文字などの形に切り抜いたマスクから光を透過させ、樹脂を固めてハンコを作ります。(手芸屋さんでよく見る紫外線で硬化するレジンと同じですね。)

ハンコのポイント

実はこのハンコを作る時に注意が必要です。先程も説明した通り、段ボールのハンコはローラーの曲面部分に取り付けて使用されます。曲面に貼るため、ハンコは少し伸びて変形します。その変形量をもともと織り込んで、寸法を変形させて作るのがポイントなのです。
その為、段ボールの印版は簡単に使い回しが出来ません。プリスロのロールの直径が異なると、ハンコの変形量が異なるため、印刷結果が変わってしまうからです。
文字が読めたら十分ですと言われる場合は問題ないですが・・・プリスロにあった印版を準備したいですよね。

インクの話

段ボールの印刷色についても少し触れておきます。段ボールの印刷に使用される色数はプリスロと関係があります。印版を取り付けるローラー1本につき1色しか印刷できないからです。プリスロの上には、ハンコにインクを塗る装置がついています。ハンコそれぞれにインクを塗り分けるというような器用なことは出来無いからです。その為、プリスロにある印刷ローラーの数で印刷色が決まります。段ボールの場合は大体2〜3色が普通です。
(色数と同じだけ印版も必要です。このあたりは昔の浮世絵の印刷の時代から原理は変わってないですね。)
「フルカラーの印刷を見たことがある」という方もおられるでしょうが、あれは事前にグラビア印刷を行った紙を段ボールに貼り付けて作る方法が用いられています。
また、印刷する色は、もともと標準で準備された色を使います。会社のイメージカラーを使いたいという要望がある場合はインクメーカーが調色し、専用のインクを準備しています。(インクジェットプリンターのようにCYMKインクで現場で印刷しながら色を作ってる訳ではありません。)それでも段ボールのクラフト色が邪魔をして思ったとおりの色が出ず苦労することもあります。段ボールの場合は黒や赤などはっきりした色を選んでいただくと業界人としては嬉しく思います。

これからの印刷

最近は段ボールに直接フルカラー印刷が出来るデジタル印刷という新しい技術も登場しましたが、大量生産の場合はプリスロで印刷するのが早くて便利です。他にも基本的な印刷内容は共通化し、バーコードや商品コードの部分は梱包時にインクジェットプリンターで印刷するお客様もいらっしゃいます。それぞれの印刷技術の特長を理解し、適切な印刷方法を選択するのが良いと思います。

段ボール箱の印刷は中身の商品を知らせるとともに、荷扱い時の注意を知らせるなど大変重要な機能を持っています。包装設計が専門の当社は、印刷内容のデザインは社内で行っていませんが、注目している分野の一つです。

hs_Vol0041

会社概要 包装設計 の情報など、色々紹介しています。詳しくはアイロップ株式会社のトップページからご覧ください

シェアする

twitter facebook LINE