マンホールの養生

2021年11月13日

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あっ!あれはなんだ

道を歩いていると赤色の消火栓と書かれた看板の真下に、白っぽい物を発見。「なんだろう」と、近づいてみました。

フィルムに包まれたものは?

近づいてみると、それは緑色っぽいフィルムに包まれた、消火栓のマンホールでした。

更に白いラベルが貼られています。

白いラベルには「鉄蓋表面に貼り付けてある標示保護シートは、舗装完了後、剝ぎ取って下さい」と書かれています。どうやらこの緑色のシートは、包装工事の間にマンホールを汚れから守るための保護シート=”養生フィルム”の様です。

養生フィルムとは?

そもそも”養生”とは、本来のあるべき姿でいられるよう、保護すること という意味だそうです。対象が人の場合は、病気や怪我の回復を指す言葉です。また、引っ越しの時に壁や床の保護をすることも”養生”と言います。うーん、久々に包装のちょっとイイ話っぽくなってきました。

私たちが 包装設計 の仕事では、輸送中の振動で発生する摩擦から商品の表面を守る時に使うものを”養生材”と呼んでいます。フィルムやクッション性のある発泡ポリエチレンのシート、不織布だったり様々な素材を使います。それらの中でも、家電製品や設備機械の液晶パネルを保護する物や、板金部品の輸送中に表面の傷防止に貼られているものが”養生フィルム”。皆さんもスマートフォンを買った時、全体をフィルムに包まれている場合があると思いますが、あれが一番分かり易いでしょうか?

剥がせる技術

ちなみに”養生フィルム”と書きましたが製造メーカーによっては”表面保護フィルム”と書かれている場合もあります。「同じものを色々な名前で呼んじゃう現象」だと思いますが、くっつけること以上に大事な点は「きれいに剝がせる」こと。輸送中は剥がれないが、使う時は剝がれやすく、商品の表面を傷つけないし、粘着剤が残ったり、跡が残らないようにするという、すごい技術が使われています。また、基材と言われるフィルム本体は、引っかかれても破れにくい強靭さと、曲面にもピッタリ貼りつくしなやかさが求められます。

フィルム本体によく使用されるのは、しなやかで適度な剛性のあるポリオレフィン系のフィルムです。これに粘着剤を塗布し、巻き取ってロール状になった状態で流通しています。見た感じは、幅のとっても広いテープという感じですね。(因みに、粘着剤の技術はメーカー各社が力を入れている部分なので当ブログでは・・・ヒミツです。)

養生フィルムを選ぶポイントは、被着体(フィルムを貼られる側)の特性に応じて、使用する粘着剤を選ぶ事。その為、専門家である養生シートメーカーの方に相談することが大切です。養生フィルムの中には粘着剤を使用せず貼り付けるものもあります。(メーカー担当者さんの説明によると「めっちゃ小さなタコの吸盤がずらっと並んでる感じ」との事。)しかし、これも被着体によっては向き不向きがあるそうなので、糊残りがしない、万能養生シートではありません。養生って 包装設計 の中でも、デリケートな分野なんですね。

最後にマンホールについて調べてみました。頑丈な鉄の塊で長持ちするように感じますが、車道で使うものは15年、歩道は30年と言われるそうです。(公益社団法人 日本下水道協会)
ちなみに上の写真は私の地元のご当地キャラ「つぶたん」の書かれたマンホール。これも設置されるまでは「標示保護シート」で養生されていたんでしょうね。

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