包装貨物試験 -包装設計のススメ4-

2021年10月21日

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包装貨物試験の目的

包装容器が商品を保護出来るかを確認するのが包装貨物試験です。主に輸配送時・保管時に発生する外部からの力をシミュレーションした試験を行い、容器の中にある商品に異常が発生しないか確認します。

どんな試験があるの

落下試験

実際に梱包した商品を落として確認するのが落下試験です。落下高さは梱包サイズや重量によって決まります。「落としたら事故でしょ!?」という声が聞こえて来そうですね。でも、買った商品を家に持ち帰る時、うっかり落としちゃった経験ありませんか?そんな時、商品が壊れていたらショックですよね。細心の注意を払っていても、輸送中に商品を落とす事はゼロにするのは難しい事。その都度、商品が壊れるようでは、輸送費のロスや機会損失の可能性も出てきます。その為、包装容器は落下衝撃から商品を保護する機能が備わっています。(JIS規格や試験の詳細はアイロップインフォメーションvol123:今さら聞けない”落下試験”落下高さはどうやって決めるのか?ルールについて説明します をご参照ください)

圧縮試験

倉庫での保管時、一番下に置かれた貨物が上から加わる荷重に耐えられるか確認するのが、圧縮(強度)試験です。一番下の荷物が潰れると上に積まれた箱が倒れてきて大変危険です。中の商品だけでなく周囲に居た人や物にもダメージを与える可能性もあります。圧縮試験では貨物の上に載る重量を数倍化した数値を目安とし合否判定を行います。数倍にした時の数字を“安全率”と呼びます。(例:3倍にした場合、安全率は3となります。)段ボールは湿気により強度が劣化する事もあり安全率の設定は重要です。

振動試験

輸送時に避けられ無いのが振動です。これを再現するのが振動試験です。試験機は定盤が一定サイクルで振動しそこに載せた貨物を決められた時間ひたすら揺さぶり続けます。振動試験の結果で困るのは、商品内部が破損している場合です。落下試験で有れば、緩衝材を増やす事で解決出来る事も有るのですが、長時間繰り返される振動の衝撃から商品を守る方法を考えるのは案外難しかったりします。また、商品が共振を起した場合は、お客様に製品強度を見直していただく事が解決策になる場合もあります。

その他の試験

海上の波のうねりを再現する揺動試験機、横からの強い衝撃を再現する傾斜衝撃試験機などがあります。また、試験規格や試験機は無いですが、必要に応じてオリジナルの試験を考案する場合もあります。

試験内容はよく考えて行いましょう

様々な試験に合格することでや完成するのが包装容器ですが、試験方法やその合格ラインの決め方には注意が必要です。物流環境下で最も厳しい条件ばかりを選んで試験を行うと、出来上がった包装仕様が過剰包装(オーバースペック)になり、包装資材費が高くなりがちです。これを防ぐためには、商品の物流環境をよく調べ、どのタイミングでどの様な衝撃が発生するかを調べ、それに相応しい試験規格を適用する事が必要です。そうする事で、安全性とコストのバランスの良い包装容器を作る事が可能となります。

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