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いまさら聞けない 圧縮試験 試験の時は商品が入ってない方が良いのでしょうか?

Vol.137

2022年5月12日

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弊社の動画配信(アイロップチャンネル)で一番人気なのが、災害時に使える「段ボール箱を改造して作るイス」の圧縮試験をやって見ましたという動画です。その内容は、当社にある大型圧縮試験機を使用し、A式ケースを改造して作る段ボールイスの強度を測定するという内容。普段の業務を離れ少し遊び感覚で作った動画ですが、試験方法や測定結果については通常の業務と同じに行った本格的な実験になっています。では通常行う圧縮試験とはどのようなものでしょうか?

圧縮試験の重要性

(生鮮食料品を除く)一般に流通する商品の多くは、流通期間の殆どの時間を倉庫に積み上げられて過ごします。その為、保管中最上段に置かれた貨物以外は自分自身より上に積まれた貨物の重さ「積圧荷重」を受けることになります。もし、包装貨物がこの積圧荷重を支えることが出来なった場合、中の商品にダメージを与えるだけでなく、その貨物より上の貨物が倒れ荷崩れを起こしてしまいます。荷崩れの結果貨物が落下し、その貨物の下に人がいた場合は人身事故を引き起こす場合もあります。その為、包装容器の持つ積圧荷重を確認するための” 圧縮試験 “は、物流上の事故を防ぐ意味で非常に重要なのです。

圧縮試験について

圧縮試験は落下試験や振動試験と異なり、貨物試験と容器試験の二種類の試験を含んでいます。JIS規格のZ 0212「包装貨物及び容器ー圧縮試験方法」が規定されています。

6.試験方法

  • 6.1 方法A 主として圧縮縮荷重による内容品の損傷を調べるために,包装貨物の圧縮試験を行う
  • 6.2 方法B 容器自体の圧縮強さを知るため,空容器の圧縮試験を行う

-JIS Z 2012より-

A・B二種類の試験ともに、方法は全く同じですが、方法Aでは中に貨物が入っていますが、方法Bは箱の強度を確認する為、空のまま試験を行うのがポイントです。 包装設計の際にも、積圧荷重を包装容器のみで支持する場合と、積圧荷重を包装容器と製品で分担して支持するように設計する場合があり、後者は特に荷重分担包装と呼ぶそうです。金属製のフレームなどで頑丈に作られた商品であれば、積圧荷重を商品が受けることも可能ですが、プラスチックでできた筐体で荷重が加わることで商品が変形するような場合は荷重分担は出来ません。

圧縮試験装置

圧縮試験に使用する試験機は、上下2枚の剛性のある圧縮盤を機械的に一定速度で接近させて、圧縮盤の間に置かれた試験品に荷重を加える構造になっています。計測部は圧縮に加わる力の大きさと、圧縮盤の移動距離を測ります。
尚、上部の圧縮盤の取り付け構造は、中央部の一点で支え、その点を中心に回転可能になっているものと、四隅を固定し常に上下の圧縮盤が固定されているものがあります。2種類の試験機では貨物の潰れ具合によって試験結果に若干の差が生じるそうです。

圧縮試験の方法

それでは、具体的に圧縮試験の方法について見てみましょう。

荷重の加え方

上下の圧縮盤の間に試験品を挟みますが一般的に行われるのが「面圧縮」です。その他に「稜圧縮」と「角圧縮」がありますが、会社でやっているのは見たことがありません。尚、試験を行う時は、同じ貨物を二つ準備し、段積みして試験を行う事うようにして下さい。貨物のどの部分で集中して荷重が加わるかが重要だからです。

前処置

紙で出来た段ボールは温湿度によって強度が変化します。このため、圧縮試験を行う前には「温湿度の調整された部屋に一定時間放置」することが必要になります。これが前処置です。JISには12種類の条件が規定されているのですが、一般的な前処置の条件は温度23度 相対湿度50%になるそうです。因みにアイロップも大型圧縮試験機の隣に、前処置を行う「恒温恒湿室」があります。また、放置する時間は、段ボールを上下解放した状態で16時間以上、中に商品が入っている状態だと24時間以上必要となっています。
圧縮試験は、箱にゆっくりと荷重を加える為それなりに時間のかかる試験ですが、前準備も含めると更に時間がかかる試験であることに驚きます。

積圧荷重の算出方法

荷重の計算方法

実際にどれだけの荷重が商品に加わる可能性を計算します。保管倉庫で積み上げる高さを箱の大きさで割り、箱を積み上げる段数を計算します。そして一番下に置かれる箱に加わる重量を計算する事で荷重を求めることが出来ます。尚パレットに梱包された状態で積み上げる場合は、その重さも加える必要があるので気をつけましょう。最近はラックやネステナーを使用してパレット積みした貨物を倉庫で保管することも増えており、包装された貨物を高く積み上げることは少なくなっているようですが、物流過程における貨物の保管状態を調べることが必要です。

安全率

物流過程において、倉庫などで段積み保管される機会が多い事は前述の通りですが、保管期間が長期にわたることもしばしば。この為、温湿度の影響で段ボール箱の圧縮強度が変化するため、上に積み上げる貨物の重量より更に強い力が加わっても、段ボール箱が潰れないか確認しておく必要があります。その際に使用するのが安全率です。保管期間や温湿度条件を勘案し考えます。私が若いころはいつでも安全率は3みたいな感じでしたが、今でもそうなんですかね?

今回のアイロップインフォメーションはいかがだったでしょうか?圧縮試験の概要についてお判りいただければ幸いです。各種包装貨物試験についてのご質問・ご用命がございましたらお気軽にお問い合わせください。

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