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手穴位置について考えた その1 こんな包装設計ダメじゃん
Vol.138
2022年6月7日
ついついやりがちなミスをあえて紹介します
毎回アイロップインフォメーションをご覧いただき誠にありがとうございます。今回新たにスタートするのは脱初心者講座 こんな包装設計ダメじゃん!です。仕事で包装や物流に携わっている方、或いは興味を持っている皆さんに役立つ情報として、包装設計の際に注意したいポイントを紹介していきます。是非ご覧ください。
箱と手穴の位置関係
みなさん、段ボール箱の側面にある小判を横にしたような形の穴を見たことありますか。あれが手穴です。手穴の役割は段ボール箱を運びやすくする事ですが、場所を間違ってしまうと運びやすいどころか、持ちにくい箱になってしまいます。「あー間違った場所に手穴をつけちゃった」となる前に、一緒に事例を見ていきましょう。(注:手掛け穴と呼ばれる場合もあるようですが弊社では「手穴」と呼んでいますので、記事では手穴で統一させていただきました。)
ダメその1 両腕を伸ばさないと持てない箱
段ボール箱の手穴の場所ってどこにありますか?段ボール箱の側面で、短い面にあるのが普通ですよね。でも、下の写真の場合は、様子がちょっと違うようです。
どうやらすごく長くて厚みのあまりない箱です。それでは実際に手穴を使って持ち上げてみましょう。
両腕を伸ばして持つのでとても辛そうです。写真の箱は空箱ですが辛さが伝わってきます。
この問題を解決するために考えられたのが、長側面に手穴をつける方法です。軽いものであれば小脇に抱えて運ぶ事が出来ます。
長側面の対角に手穴があるので持ち運びがしやすい事が特長です。ちょっとした工夫がとても大事ですね!
ダメその2 腕を曲げないと持ち上げられない箱
段ボール箱の手穴の高さってどうやって決めますか?私はこの記事を書きながらネット検索をしました。見つけた情報では、箱の天面から5~10cm離れた場所に手穴をつけると書かれていましたが、これは一つの目安です。実は箱の形や大きさによっては注意が必要。まずは下の2種類の箱の写真をご覧ください。縦長の箱で手穴位置が異なります。
それでは手穴位置が箱の天面に近い(写真右側)の箱を実際に持ってみましょう。腰を曲げずに手穴を持つことが出来ていい感じなのですが・・・。
地面から上に持ち上げる為には相当腕を曲げる必要があります。上腕が肩まで上がってます。先ほどの両腕を拡げるパターンとは異なりますが、長時間腕を曲げっぱなしだと腕に負担がかかり疲れてしまいます。
腕も背筋も伸ばした状態で地面から持ち上げることが出来ました。横から見た姿勢だけでも楽な感じが伝わってきます。
このように人が運びやすい工夫をされた包装は、作業者の疲労を軽減し、商品の落下事故の発生を抑制します。その為、荷役全般に良い効果をもたらします。
ダメその3 手穴は真ん中にあるという思い込み
段ボール箱の手穴位置の重要性が分かってきたところで皆さんに少し問題です。まずは下の写真を見て下さい。
なぜ、右側の箱の手穴位置は箱の中央よりずらした場所にあるのでしょうか?経験者の方はすぐに気づくと思いますが、経験のない方には非常にわかりにくい問題です。先ほどから繰り返し書いていますが、手穴の位置は段ボール箱を運びやすくする事がポイントです。この写真の場合、手穴位置が真ん中でも、持てないの事はありませんが、あえてずらしている点がポイントです。
それでは実際に持ち上げてみましょう。
あれれ?箱が傾いてますね。それではもう一つの箱を持ち上げてみましょう。
こちらの箱は地面に対して水平です。なぜこのような現象が起きるのでしょうか・・・実はこの箱の中の商品の重さが偏っていることが原因です。
公園にある”シーソー”や”やじろべえ”は支点を中心に重い方に傾きます。今回の写真の場合は手穴が支点となり荷物の重い方へ傾いてしまったのです。そこで、手穴(支点)の位置を貨物の重い方に近づけることでバランスがとれ、箱が水平に持ち上がるようになります。
本当に手穴って奥が深いですね。
今回から始まった「こんな包装設計ダメじゃん!」は如何でしょうか。次回も手穴の話をお送りします。また、読者の方の体験した「ダメじゃん」があればぜひご紹介下さい。よろしくお願いします。
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