手穴位置について考えた その2 こんな包装設計ダメじゃん

Vol.139

2022年7月4日

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今回も、ついついやりがちなミスを紹介します

前回の手穴位置のインフォメーションはおかげさまで好評でした。という訳ではありませんが、今回も包装設計の際に注意したいポイントとして、習慣にとらわれてやってしまう手穴位置のミスについて紹介します。包装設計の初心者卒業を目指して頑張りましょう!。

おさらい 箱と手穴の位置関係

前回も説明しましたが、段ボール箱を運びやすくするため、箱の側面につける穴が手穴です。穴を開ける場所は先達の知恵でおおよそ場所が決まっているのですが、貨物の大きさや重さに合わせないと持ちにくい箱になってしまうのです。折角の手穴が使いにくいのでは意味が無いですよね。(注:手掛け穴と呼ばれる場合もあるようですが弊社では「手穴」と呼んでいますので、記事では手穴で統一させていただきました。)

腕を目いっぱい広げないと持てない箱・・・しんどそう

ダメその4 手穴は肩幅が持ちやすいという常識

大きな貨物の場合、荷物を二人で運びます。その為、箱の短側面に2コ手穴を開けます。人が箱に向かって持ち上げる為、持ちやすさを考えると手穴の間隔を肩幅にします。


という訳で、箱の大きさを気にせず、肩幅重視で手穴をつけました。


 


両腕の間隔も広すぎることも無く、ちょうどいい感じで持てそうですね。しかし、この手穴の設定には思わぬ落とし穴があるのです・・・。


写真に写っている箱の右上が変形しているのが見えるでしょうか?段ボール箱側面の4つの折り曲げた部分は、箱の柱となり圧縮強度を高めています。しかし、手穴がこの折り曲げた部分に近すぎる為、強度が低下してしまい、結果段ボール箱が壊れやすくなってしまいます。段ボール箱の荷崩れは、中に入っている商品が壊れるだけでなく、荷物の横を通過している人にぶつかるなど、危険な事故の原因にもなります。手穴位置を肩幅に合わせた方が持ちやすいのは当然のことですが、箱の強度にも気をつけて設計する事で物流環境の安全性を高めることにつながります。

ダメその5 手穴の間隔が極端に狭い

これは先ほどの例の逆で、手穴同士の間隔が狭い場合です。


段ボール箱側面の左右の折り曲げた部分からは離れているので、圧縮強度への影響は無いのですが・・・


 


手を入れてみるとわかりますがほぼ両手がくっつく状態。この状態で箱を持ち上げようとすると、腕が胸にぶつかって肘を曲げることが出来ません。腕を伸ばしたままで荷物を持つことはとてもしんどく、わずかな時間の荷役でも人間の感じる負担は非常に大きくなります。手穴の間隔には注意が必要ですね。

ダメその6 天面に近すぎる手穴

先ほどから手穴の左右の位置の話を書いてきましたが、今度は上下方向の話です。下の写真の箱の手穴位置、一見何の問題も無さそうですが・・・やっぱりこれも問題を引き起こす場合があります。


手穴は、段ボール箱の天面から下に少なくとも5cmは隙間を開ける事が望ましいとされています。写真の箱は天面から手穴までの間隔が2~3cm程度しかありません。フタの部分のテープの端も短くなり、封緘しずらい状態です。


とりあえず、両手を手穴に入れて問題なく持ち上げられそうですが・・・。


 


箱を持ち上げようと手に力を入れた所、段ボールが破れてしまいました。段ボールシートが原因で破れる事もありますが、手穴の位置によって破れることもあるので、手穴をつける時は、箱の天面に近づけすぎないよう注意することが必要です。

前回に引き続き紹介した手穴位置の失敗事例はいかがだったでしょうか?あると便利な手穴も設置位置を間違えると思わぬトラブルを巻き起こしてしまいます。今後もアイロップインフォメーションでは、包装に携わる皆さんに役立つ「失敗事例」も積極的に紹介していきます。みなさんの身近で起きる物流クレームの中には、包装にまつわる問題が潜んでいるかも知れません。そんな時は、アイロップ株式会社へご連絡ください。よろしくお願いします。

スピンオフ動画! 動画で分かる「こんな包装設計ダメじゃん!」

おかげさまで好評だった、第一回のこんな包装設計ダメじゃん!をYouTube動画にしました。内容は「ダメ!その1 両腕を伸ばさないと運べない箱」です。文書だけだとわかりにくい内容そ動画で紹介しています。是非ご覧ください。

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