A式段ボールケースの接合部にグルージョイントが一般的になっている4つの考察

Vol.143

2022年11月4日

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みなさんは段ボール箱の側面の接合部分に大きなホッチキスのようなものが付いているのを見たことがありますか?あれはステープルジョイントいう接合方法です。私が子供の頃にはよく見たのですが、最近ではスーパーのレジ横にある空き箱コーナーでも滅多に見ることが無くなりました。現在見る箱は接着剤で貼り付けたグルージョイントになっています。という訳で、今回は業界人として、グルージョイントが増えた理由を考察していきたいと思います。

そもそもA式段ボールケースって何

A式ケースは分かるよって方は、飛ばして下さって結構ですが、アイロップインフォメーションを初めて読んだ方や段ボールについてよく知らないって方は、是非読んでください。

A式段ボールケースとは、JIS規格では0201型と規定される、胴枠の上下にフラップのある箱です。このように書くとスゴイものみたいに感じますが、誰もが「段ボール箱と言えば、あれね」って思うすごく普通の箱です。(調べた訳ではありませんが、世界で一番使われている段ボール箱の形だと思います)


アイロップチャンネル:段ボール全集Vol.001 0201型 A-1式ケース をサックと紹介します

この箱の接着部分ですが、昔はステープルジョイントというワイヤでの結合と、グルージョイントと言われる接着剤で貼り付ける二つのパターンが選べましたが、今ではグルージョイントが主流になってきています。(スーパーに置かれている無料でもらえる箱でもステープルジョイントを見ることは無くなりました)

今回は、なぜグルージョイントが主流になっているのかを考察していきたいと思います。

写真はスリーブ(筒) 左:グルージョイント 右:ステープルジョイント

考察その1 グルージョイントは箱の内側が平らである

ステープルジョイントは、2枚の段ボールシートを金属製のワイヤを使ってカシメます。その為、ケースの内側には金属が飛び出します。飛び出るといってもワイヤの切断部分はケースの外側に向かって折り返されていて、尖っているわけでは無いですが、凸凹しているので柔らかい物が接触すると、傷がつきそうで心配になります。

ステープルジョイントの接合部 内側の様子

対してグルージョイントは段ボールの面を接着するので、ケースの内側は平らです。その為、中の商品は段ボールにしか触れません。これって、食品や日用雑貨品等の梱包では大事なポイントではないでしょうか。

グルージョイントの接合部 内側の様子

考察その2 グルージョイントは接着剤なので分別回収が不要

ステープルは金属製のワイヤなので分別回収が必要と思われている方が多いと思いますが、実は分別不要です。段ボールは段ボールにリサイクルされていることは有名ですよね。(なんとリサイクル率90パーセント以上の優等生です)再生の時に行うのが、段ボールを水に溶かすこと。水に溶かしてパルプ(紙の繊維)に戻します。この工程の中でステープルは不純物として取り除きます。これは昔からずっと行われてきたことで、機械化されています。その為、わざわざ分別する必要は無いのです。
尚、グルージョイントに使用される接着剤は水溶性です。水に溶けるので、この接着剤も分別回収は不要です。

考察その3 グルージョイントは生産性が高い

現在多くのボックスメーカー(段ボールケースを生産するメーカーの事)では、フレキソフォルダグルア―でA式ケースを製造します。これは、段ボールシートへの印刷からA式ケースへの加工まで一貫して行う設備です。その時に使用されるのがグルージョイントです。


アイロップチャンネル:フォルダグルア―での製函

グルージョイントは段ボールの面と面を重ね合わせ接着剤が乾燥したらくっつきます。折り曲げてからステープルジョイントを行うよりも、接着剤を塗布した後で折り曲げる方がスムーズに作業が行えるため、大量生産向きの加工方法です。

考察その4 実はステープルとグルーの接着強度はほぼ同じ

段ボールケースの強度を調べるための指標の一つに圧縮強度があります。接合(接着に統一した方がいいかも)部分が弱いと簡単にケースが壊れてしまう為、耐圧荷重が弱くなってしまいます。そこで、ステープルとグルーで接合した段ボールケースの圧縮試験を行いました。が、結果は両方ともほぼ同じ値でした。差が出た方が面白いのですが・・・という訳で、ステープルジョイントの本数を減らした状態での試験も行いましたが、結果はやはり同じ。考えてみれば、接着した部分の強度に差が無いのですから、大量生産向きのグルージョイントが一般的になるのも納得ですね。

アイロップ名物 大型の圧縮試験機で今回もテストをやって見ました

ステープルVSグルー 耐圧強度対決

それでは、圧縮試験の結果を紹介します。スリーブ(筒)で比べてみました。(内寸法:450×350×高さ500㎜)

試験結果のグラフです 縦軸は強度 横軸は箱潰れた変形量 

どちらも3.0kNを超えたあたりで変形。ほぼ耐圧強度に変わりはありませんでした。
そこで敢えてステープルの数を減らし3本だけにしてみましたが、大きな差は見られませんでした。

グルージョイントによる座屈 今回の試験では外側に向かって変形した

 

ステープルジョイントの座屈 ケースの下の方で折れ曲がりました

今回は圧縮強度の比較だけになっているので、他の部分での強度変化はあるかも知れませんが、グルージョイントとステープルジョイントの違いによる圧縮強度の変化は無いようです。

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