段ボールケースの高さと圧縮強度の関係を調べてみた

Vol.151

2023年7月12日

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段ボール箱の圧縮強度は何で決まるの?

この疑問の答えは『ケリカット式』にあります。これは昔ケリカットさんが実験によって導き出した段ボールの圧縮強度を計算で求めることができる公式です。計算に必要になのは、段ボールシートの紙の材質やフルート(中芯の波の種類)と箱の周辺長です。

では箱の高さは圧縮強度に影響を与えないのでしょうか。

今回はこの素朴な疑問を圧縮試験機を使用して確かめるという、めっちゃシンプルな内容です。

これがケリカット式です これでも一応簡易式なのです

選ばれし『箱』たち

今回の実験では、4種類の高さの異なる箱を準備しました。大袈裟な見出しですが、普通のA式ケースです。

段ボールシートは全てK’5 AFを使用しています。

内寸法は幅300㎜×長さ600㎜ 高さは、250㎜・500㎜・750㎜・1,000㎜にしました。250㎜ピッチにすることで強度変化を見ようという計画です。

湿度の高い真夏に圧縮試験かよ・・・って気もしますが、果たしてどのような結果になってのでしょうか

準備した高さの異なる4種類の箱

圧縮試験を行いました

低い250㎜のケースから順番に圧縮試験を行いました。以前は圧縮試験動画を何度も撮影していたのですが、変化が乏しくひたすら待つだけなので、今回は写真だけにしています。(笑)

圧縮試験を順番に受ける『箱』たち

今回の試験で座屈の折れた線がはっきり見えたのは、高さ250㎜の箱と1,000㎜の箱だったので写真を紹介します。アイロップで30年くらい働いているので見慣れた景色ですね。

結果発表

下のグラフが試験結果です。見事なくらい圧縮強度は同じことが分かりました。

グラフ

圧縮試験グラフを初見の方の為、読み方を解説します。

グラフの縦軸方向が、圧縮強度 横軸は変形量を示します。変形量とは圧縮する事で箱の高さがどれくらい小さくなるかを示します。今回のグラフでは、縦軸の1cmが1kN(キロニュートン) 横軸の1cmが変形量1cmです。(細かい目盛りが1ミリです)

「同じ箱を4個圧縮試験しました」と言っても分からないですね。

まとめ

参考の為、ケリカット式で圧縮強度を求めました。結果は2.685kN(274㎏f)でした。上の試験結果はほぼ2.5kN。夏場の湿度環境も考えると、殆ど差は無いと考えられます。

ケリカット式って偉大!です。天国のケリカットさんも今さらこんな実験をされるとは思わなかったでしょう。

しかし、ケリカット式は慣れていない皆さんには難しい公式です。また、包装仕様を検討する場合は圧縮試験も不可欠。包装の圧縮強度についてのご相談はアイロップにお問合せ下さい。段ボール以外の素材の圧縮試験もやってます!

注:この記事の試験結果は参考値になります。試験環境や使用する材料によっても異なります事をあらかじめご了承願います。

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