改訂JIS Z 0200
包装貨物性能試験内容が改正されました
(3)

Vol.156

2023年11月6日

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前回 前々回と続いた改訂JIS Z0200 2023年版の紹介も今回で最終回。
ハザードの種類、試験方法のガイドラインに続いては、試験内容の気になるトピックスを紹介します。

最高1メートルの落下高さが登場

ECを始めとするBtoC市場の拡大を背景に増えているのが、人による荷物の運搬。これら小口輸送に配慮し、30㎏以下の貨物の自由落下試験の高さは、2020年の規格より高くなっています。

【10㎏の貨物の落下試験高さ】

規格の年度 レベル1 レベル2 レベル3 レベル4
2023年版 1,000㎜ 800㎜ 600㎜ 400㎜
2020年版 800㎜ 600㎜ 400㎜ 300㎜

特に著しいのは10㎏以下の貨物の場合です。10㎏以下の貨物と言えば、一人で運ぶのが当たり前。大人の男性が胸の高さまで荷物を持ち上げれば、地面からの高さは90~100cm(=1メートル)くらいになりますので、ありがちな高さと言えますね。
当社の商品は、そんな荷扱いを受けないだろう・・・とお考えの皆さんも要注意です。最近のECサイトでは、非常に数多くの商品が取り扱われています。自社商品は企業向けと思っていても、営業さんによく確認した方がいいかもですよ。

無理な運び方は禁物ですね

重たいものはどうなった?

実は、30㎏を越える商品の自由落下試験から天面の落下が無くなりました。

補足しますと、自由落下試験では、1つの角 その角から、縦横高さに伸びる3本の稜線、そして箱の全ての面6面を、落として商品の安全性を確認することになってます。しかし、今回の改正により、30kgを超える物は、1角3稜5面(天面除く)に変わりました。

レベルって何?

試験は4段階のレベルに分けられており、レベル1は条件が厳しく、レベル4になるとゆるくなります。自由落下試験での1~4のレベルの違いは、人による荷役頻度や貨物にかかる外力の大きさに関係するようです。

レベル1は、人的荷役回数が多く、機械荷役でも大きな外力がかかる可能性を示唆しています。レベル4になると、人的荷役回数が殆ど無く、大きな外力がかかる可能性がないとしています。
(表現は抽象的ですが、これはあくまでも目安なのです)

積み重ね荷重試験にも変化が

保管条件によって、保障レベルを4つのレベルに分類するようになりました。

レベルの違いを考える要因としては、保管劣化(積み付けや積みかけ回数)、保管期間(月数)、湿度になります。これらに基づき、圧縮試験時に使用する付加係数(K)を決めるという仕組みです。

保管条件で決めた付加係数×貨物の重量×積み段数から、圧縮荷重を算出します。

悪路走行時の振動も再現?

振動試験では輸送距離に応じたレベル訳が行われます。レベル1は、2,500㎞以上の非常に長い距離、レベル3は200㎞以下の短距離です。この間を埋めるのがレベル2です。長距離の国内・国際輸送という事になってますが、ちょっと幅広いような気がします。

ランダム振動の振動パターンを設定するのに使用されるのが、PSD(パワースペクトル密度)です。
(パワースペクトル密度とは、波や振動のエネルギーがどの周波数に集中しているかを教えてくれるものです。ランダム周波数の試験を行う時に機械に入力するデータになります)

ラスト1マイルを意識したという事、 PSD-A PSD‐Bという二種類のプロファイルによる試験を行います。さらに悪路走行を想定したPSD‐Cも存在します。

まとめ

この他にも追加された要素がいっぱいのJIS Z0200 2023年版。ラスト1マイルやEC市場の成長が物流に与えている影響を強く感じさせる内容でしたね。

反面、各試験のレベル判断には、引き続き難しさを感じます。「当社の商品物流のレベルって???」とお悩みの方は是非アイロップにご相談ください。
物流クレームが多いとお嘆きの方は、レベル設定にずれがあるかもですよ?

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