改訂JIS Z 0200
包装貨物性能試験内容が改正されました
(4)

Vol.157

2023年12月1日

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前回が最終回だったJIS Z 0200のインフォメーションですが、回を追うごとに読んでいただく方が増え、好評でした。そこで年末あやかり企画これが本当の最終回 「内容が改正されました4」を配信します。

温湿度環境試験と低圧試験が追加されました

物流環境における気象の変化もハザードです。温度・湿度・気圧に対する試験が追加されました。

温湿度

温湿度環境試験は、高温・高温+湿度・低温の3種類×三段階のレベルが準備されています。
一番厳しい、レベル1を見ていきましょう。
高温試験は、温度60℃ 湿度20% 高温+湿度試験は60℃+85% の設定です。地球上の屋外では、このような場所はありません。赤道を通過する貨物船内などがこのような環境になるのだと思います。

それに対して低温試験は-55℃が設定されています。これは、シベリアで観測されることがあるようです。南極大陸では‐80℃にもなるそうです。

寒そうなシベリア鉄道

現在多くの貨物が、段ボールで梱包されますが、段ボールは湿度の高い環境では水分を吸収し破れやすくなり強度が劣化します。低温については、凍結した水分の膨張による商品の破損などが考えられます。プラスチックも脆くなるため、衝撃で割れる事も有ります。

気圧

低圧試験とは、大きな気圧の低下を伴う貨物の輸送を想定した試験になります。密閉された容器は、外部の気圧が低下することで内圧の方が高くなります。この為、包装容器が膨らむ方向に力が加わります。一般的な商品では破損する可能性はありませんが、デリケートな製品には注意が必要です。

人間でも気圧が下がると、頭痛やめまい、耳つまりなどの症状が発生しますが、貨物にとっても気圧の変化はダメージを与えるんですね・・・。

レベルについて見ていきましょう

低圧試験で使われる圧力について見ていきましょう。

みなさんは標準的な気圧についてご存知ですか? 一般的に海面状の気圧は101.3キロパスカル(以下kPaと表記します)日本では台風のニュースでよく見る単位にhPa(ヘクトパスカル)という単位があります。1hPa=100パスカル。1kPa=1,000パスカルなので、kPaはより大きな力を表す単位になります。

低圧試験にも三段階のレベルが設定されています。

レベル1 55kPa 気圧だけだとピンときませんが、高度5,000メートル程度の気圧になるそうです。想定するのは、アンデス山脈を越える輸送ルートとの事。ネットで調べてみると、アンデス山脈には様々な鉄道が走り、国や地域を結ぶ重要な輸送網になっているそうです。

アンデス山脈鉄道

最も標高の高い駅は、ペルーに位置する「ギャランタ駅」で標高約4,777メートルにあるそうです。(世界一は中国にある唐古拉山駅で標高標高5,068メートルだそうです)
人の住むところ物流有り・・・とはいえ、富士山より高い所に鉄度が走っているとはビックリです。

記事には関係ないですがマチュピチュ・・・こちらも標高は高いですよね

レベル2と3

続いてのレベル2は、65kPa 3,500メートル 与圧されていない航空機という設定。
一般に商業航空機の飛行高度は9,144メートル(30,000フィート)~12,192メートル(40,000フィート)という事なので、ちょっとニュアンスが違うのでしょうか???

レベル3は80kPa 2,000メートル アルプス越えルート
アルプス山脈そのものの標高は4,000メートルに及ぶものもありますが、鉄道はあまり高くない感じ。一番高い駅はユングフラウヨッホ駅で標高約3,454メートル。スイスを横断するゴッタルド鉄道の最高地点は標高約1,151メートル。アンデス山脈鉄道がいかに高い所を走っているのか・・・感心します。

まとめ

世界に広がる流通網。スゴイ自然環境も視野に入れ試験条件を考える必要があるんですね。

さて、今年のアイロップインフォメーションはいかがだったでしょうか?来年1月はアイロップインフォメーションはお休みです(会社は12月29日~1月4日まで年末年始休業となります)すみませんがアイロップインフォメーションは2024年2月から再開します。
それでは一足早く、みなさんメリークリスマス アンド ハッピーニューイヤー 良いお年をお迎えください。

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