目方向 でどれだけ変わる?段ボールケースの圧縮強度

Vol.118

2020年11月12日

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A式ケースの 目方向 を通常と逆にしたら、どのくらい圧縮強度が変化するのか?今回はこの疑問を確認するため、”アイロップにある設備で、普段やらないような試験をまじめにやってみました”

A式ケースの 目方向

通常のA式ケースは、サンプルAのように、段ボールシートの 目方向 が縦になるように作ります。このため、段積み時の圧縮荷重に対しても強くなっています。これをサンプルBのように 目方向 を横向きにすると、圧縮強度が低下することは容易に想像できるのですが・・・どの程度低下してしまうのでしょうか。

今回は、目方向が縦と横のケースを各2ケース作成し、圧縮試験を行いました。

段ボールの 目方向 が縦のサンプル
サンプルA
段ボールの 目方向 が横のサンプル
サンプルB

【ケースの情報】
材質:K’5AB段 内寸法:500×400×250(H)㎜

尚、今回ご紹介するデータは、実測値であり品質を保証するものではありません。

圧縮試験機について

弊社が圧縮試験に使用するのは、本社試験室に設置された大型圧縮試験機です。定盤のサイズは、2,000×1,500㎜。最大荷重10tまで荷重をかける事が可能です。民間企業の保有する圧縮試験機としては大型のもので、過去にはお客様の依頼でスチールラックの圧縮試験を行った実績もあります。

(試験評価のサービスもご提供しています。興味のある方は、お気軽にご相談ください。)

試験結果です

縦の 目方向 の段ボールケースサンプル
横の 目方向 の段ボールサンプル

圧縮強度の測定値は、Aが約600kgf対してBは約180kgfでした。今回の実験では 目方向 を変えた事で圧縮強度は3分の1以下になりました。

【A:縦の 目方向 】
【B:横の 目方向 】

試験を行うときは、グラフで記録を測定します。X軸が変形量、Y軸は圧縮強さを表します。グラフの山のピークが最大の圧縮強さとなります。

上のグラフの場合は、㎜(ミリメートル)の単位表記がある方向がX軸で時間の経過する方向です。KN(キロニュートン)の単位表示がY軸です。

圧縮試験後の、A:縦の 目方向 のケースです。高さ方向の中間付近に、うっすらと線が入っているのが見えるでしょうか。

通常A式ケースは、圧縮荷重を受けると、側板が反るようにたわみ、耐えきれなくなると”ポキっと”折れてしまいます。

(余談ですが、輸送中の段ボール箱を見るときは、こういうポイントをしっかり見ていただくと、箱を開ける前に問題に気づけるかも)

B:横の 目方向 のケースの試験後の状態です。箱の上の面から徐々に潰れていったのが分かります。側面の部分は圧縮荷重に殆ど抵抗しなかったと考えられます。

やって見ると、こういう現象はよくわかりますね。

なかなか体験できない実験で興味深かったですが、やっぱり段ボールケースは普通に作った方がよさそうですね。

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