お風呂を落としたって本当ですか?大きな貨物の落下試験

Vol.125

2021年5月6日

今回は約20年前、当社で実際に行われていた”お風呂の浴槽”の落下試験の記録を紹介します。前回のインフォメーションでは包装貨物試験の落下高さを決める為には、人が運びやすいか否かがポイントになっていることを説明しました。(インフォメーションVol.123:今さら聞けない”落下試験”)それでは、人間が一人で運ぶ事が出来ない”浴槽”には、どのような試験が行われていたのでしょうか?

 

2種類の落下試験

落下試験には、「自由落下」と「片支持稜落下」という2種類の方法があります。

自由落下は、荷物を空中から地面に落とす事ですが、放り投げるのではなく、決められた高さから真下に落とします。両手で持った貨物を誤って落とした場合をイメージしているのでしょうか。

落下試験では、箱の各面と、稜線(箱の面と面がぶつかる線)、角を落下させます。一般的なのは「1角3稜6面」です。(合計10回落とすことになります。)

自由落下
自由落下の様子の動画

これに対して、100㎏以上の貨物に対して行うのが、片支持稜落下試験です。荷物の片側を15cmの台に載せ、もう一方を落下させます。この重量の貨物の場合、人間が運ぶことは難しい為、フォークリフトなど機械での荷役になります。その為、貨物が早い速度で落っこちるという現象は発生し難いですが、荷物を下ろす際に片側だけ落としてしまう可能性があります。

そのような、貨物全体ではなく部分的に発生する衝撃を再現するのが、この試験です。

片支持稜落下試験

1角3稜6面試験とは

箱の角

底面の角部分。JIS規格の落下試験では一回だけ落とします。落下試験の時は、この角を頂点に重心位置を探し、垂直に落下するようにします。

箱の稜

角落下させる箱の角を起点に、底面と短側面、底面と長側面、短側面と長側面のそれぞれぶつかり合う線を落下させます。

箱の面

底面から順番に箱の面を落下させていきます。最後に天面を落下させます。

 

お風呂の落下試験の様子

いよいよ本題の”お風呂の落下試験”について紹介します。

当時の記録によると、重さ約60㎏の浴槽の自由落下試験の写真が見つかりました。それもお風呂が宙に逆さづり!。当時を知る方に写真を見せたところ「懐かしいねえ~今でもやってるのかなぁ?」というお言葉。この天面からの落下試験ですが高さは50cmになっていたそうです。

正しくは天面落下ではなく「傾斜落下試験」。少し傾けて落とす所がポイント。トラックの荷台や段差から引きずって下ろす時のイメージでしょうか?

実はこの試験を行う前の梱包荷姿は、密閉包装でした。外から中に入っている浴槽が見えなかった為、間違って天面から落とされる事も心配されていたのかも・・・?。

現在は可視包装が主流。写真のように中が確認できるのに、誤って天面から落とすことは考えにくいですね。
天面の他に稜落下も行っていますが、結構大きなダメージが発生したことが想像されます。(当時の資料では)底面・底の稜線の落下試験高さは25cmでした。お客様が浴槽の天面のダメージに相当シビアだったことがうかがえます。

底稜の落下試験の様子です。この他、底面・角落下なども行われています。

お風呂の試験の様子

試験条件と方法

お客様の指定された条件で試験を行っています。いくつかの場所を黒く塗っているのは大人の事情です。

供試品

お風呂、スキット、段ボールのトレー。この包装仕様のポイントは、木製スキットに取り付けた樹脂製の脚固定具が商品を固定している事です。

底面の落下

定番の底面落下。やはり落とす可能性を考えると、この方向の試験は外せません。

 

まとめ

 
 
  • 落下試験には「自由落下」と「片支持稜落下試験」の2種類がある
  • 貨物の重量が100kg以上の場合は、片支持の落下試験を行う
  • 「自由落下」試験の場合、人が誤って荷物を落とす場合を考えて、面や稜、角で地面にぶつかる様子を再現する
  • 「片支持稜落下試験」は機械での荷役を想定し、試験を行う

ここに書いた物は、一つの考えた方としてご理解下さい。商品の特性や物流環境によっては、全く異なる形でダメージが発生することがあり、それに合わせた試験を自分たちで作っていく必要があるからです。

商品をより安全に運ぶヒントは、皆さんの物流環境の中きっとあるはずです。どのような原因で、商品にダメージを与える衝撃が発生するのか?そのメカニズムを突き止めることで物流コスト低減のアイデアが生まれてくるのではないでしょうか。

弊社では包装資材だけでなく物流環境に対する情報も持ったうえで、お客様に最適な包装仕様のご提案を行っています。「包装や物流」の困ったは、アイロップにご相談ください。

 

おまけ/懸垂式落下試験機について

一人で運ぶことの出来ない貨物の落下試験はどのように行うのでしょうか?アイロップ株式会社には天井クレーンを改造した「懸垂式落下試験機」を社内に設置しています。工業製品の輸送包装を中心とした物流コンサルティングを行う当社ならではの試験設備です。もちろんJIS規格に対応するため、床もコンクリート&鉄板で完璧です。困ったときはいつでもご相談ください。