SDGsに最適な包装資材とは?①
~スチール編~

Vol.132

2021年12月7日

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2015年国連総会で採択され、持続可能な開発目標として17のゴールが示された、通称SDGs

現代はSDGsに全産業が取り組まなければならない時代で、もちろん包装業界においてもその流れは必須ですよね。
SDGsの17の目標のうち、特に産業界に関係するものは、13番目の”Climet Action”「気候変動に具体的な対策を」であり、気候変動対策のために各国、各産業が力を入れている取り組みが、二酸化炭素排出量の削減です。
様々な資材を活用して包装設計を行う当社としては、どの包装資材が最も環境に適しているのか気になるところです。

調べてみたところ、 段ボール、スチール、プラスチック、木材、各資材業界それぞれで独自に二酸化炭素排出量の削減に積極的に取り組んでいることが分かりました。

今回は、各資材業界の二酸化炭素排出量の現状と、排出量削減に対する取り組みを数回に分けてご紹介します。

なぜ二酸化炭素排出量の削減が必要なのか

出展※

気候変動による地球温暖化が世界的に問題となっているのは周知のとおりですね。温暖化の原因となっているのが温室効果ガスです。

IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告書によれば、温室効果ガス別の地球温暖化への寄与は、二酸化炭素76.7%、メタン14.3%、一酸化二窒素7.9%、オゾン層破壊物質でもあるフロン類(CFCs、HCFCs)1.1%、となっています。

つまり、石油や石炭など化石燃料の燃焼などによって排出される二酸化炭素が最大の温暖化の原因と言えます。

出展※

この二酸化炭素濃度は、産業革命前1750年の280ppmから2013年には400ppmを超え、実に40%以上も増加しており、IPCCでは、大気中の二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素は、過去80万年間で前例のない水準まで増加していると報告しています。

地球温暖化を防ぐためには二酸化炭素排出量の削減が必須というわけです。

世界の二酸化炭素排出量の現状

出展※

世界の二酸化炭素総排出量は合計で約335億トンで、最も多い中国は毎年約90億トン以上、2番目に多いアメリカは約50億トンを排出し、全世界の多くを占めています。日本は10億トンで中国やアメリカの4分の1以下ですが、5番目に多い国です。

過去20年間における大気中の二酸化炭素濃度の増加の内4分の3以上は、石炭・石油など化石燃料の燃焼によるものです。従って、工業化の進んだアメリカ、 ロシア、日本などの先進国は排出量が大きな割合を占め、とりわけ重い責任を担っていると言えます。

出展※

それぞれの国に住む人一人が1年間に出す二酸化炭素の排出量(CO2換算)で比べるてみると、中国人は6.7トン、アメリカ人は14.6トン、ロシア人は10.6トン、インド人は1.6トン、そして日本人は8.9トンとなり、国ごとの排出量の順位とは大きく異なります。

日本人一人で、インド人の約5人分強の二酸化炭素を排出しています。こうした数値と併せて考えてみると、アメリカやロシア、日本など、いわゆる先進国に住む人が地球温暖化の原因となる二酸化炭素をより多く出して生活していることがわかります。

日本の二酸化炭素排出量の現状

出展※

先に見た通り、世界全体では、温室効果がスの中で二酸化炭素の地球温暖化に対する寄与率は76%でした。


しかし日本の場合、温室効果ガス総排出量約12億トンの中で二酸化炭素の排出量は約11億トンとなっており、その比率はなんと 約91%
世界全体と比べても極めて高くなっているのです。

出展※

排出部門別でみると、工場などの産業部門が約3億8千万トンと一番多く、日本の二酸化炭素総排出量約11億トンのうち、約35%を占めています。

ゆえに、各産業界で、二酸化炭素排出量の削減が急がれているのです。

※出展:温室効果ガスインベントリオフィス/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より

それでは、包装・梱包に使われる主な資材の業界ごとに、二酸化炭素排出量の現状と削減への取り組みを紹介したいと思います。

スチール(鉄鋼業界)

鉄鋼業界の二酸化炭素排出量

日本の二酸化炭素総排出量のうち、産業部門の排出量が最も多く35%を占めていることを先に示しました。
その産業部門の排出量約3億8千万トンをさらに業種別に見たものが下のグラフです。

これを見ると、産業部門における二酸化炭素排出量のうち、鉄鋼業界の二酸化炭素排出量は約155百万トンで最も多く、鉄鋼業界が40%を占めていることが分かります。これは第2位の化学工業の約3倍になります。

世界全体で見ても、製鉄による二酸化炭素排出量は、世界全体の排出量の約7%にのぼりますが、これは製鉄過程おいて大量の二酸化炭素が排出されることに因ります。この 製鉄方法は「高炉製鋼法」といい、高炉で鉄鉱石と石炭を混ぜ合わせて加熱することで、鉄鉱石から酸素を還元(除去)し鉄を取り出す方法で、その際、酸素(O)と一酸化炭素(CO)が結びつくため大量の二酸化炭素(CO2)を発生させてしまいます。
日本の場合、鉄鋼業が排出する二酸化炭素155百万トンのうち9割以上がこの高炉製鋼法によるものと言われています。

ゼロカーボン・スチール転換への動き

2020年12月、風力発電の世界最大手オーステッドや英建設大手などが参加する「スチールゼロ」という国際企業連合が発足、発電所やビル建設時に使う鋼材全てにおいて、2050年を目標に「二酸化炭素排出ゼロの鋼材しか使用しない」ことを宣言しました。

この世界的な脱炭素への流れを受け、日本鉄鋼連盟は、2021年2月、「我が国の2050年カーボンニュートラルに関する日本鉄鋼業の基本方針」を発表し、日本鉄鋼業としても2050年までにゼロカーボン・スチールの実現に向けて、進めるべき技術開発を行っていくことを宣言しました。

鉄鋼業界の具体的な取り組み

鉄鋼メーカー各社は、ゼロカーボン・スチールへの取り組みとして、現在主流となっている高炉製鋼法に代わり「電炉製鋼法」の導入を進めています。
これは、橋やビルなどの構築廃材などの鉄スクラップ、いわば鉄鋼のリサイクル資源が原料であり、電気炉で用いられ、二酸化炭素の排出量が高炉製鋼法の4分の1とされています。よって、鉄鋼の生産が高炉から電炉に切り替わることで、日本の二酸化炭素排出量は大きく削減されると想定されます。
さらに、電力を再生可能エネルギー由来のものにすれば、二酸化炭素排出量ゼロも実現可能となります。

また高炉存続の危機に直面している高炉メーカーでは、近年、二酸化炭素排出量削減技術の開発を積極的に行っており、様々な新型高炉の開発が進んでいます。
例えば、高炉での水素の活用。石炭ではなく、水素を使って鉄鉱石を還元する製鋼法で、酸素(O)と水素(H2)が結びつくので、二酸化炭素ではなく、水(H2O)が発生し、二酸化炭素の排出ゼロが実現します。
また、高炉製鋼法で排出した二酸化炭素を再利用できる新型高炉の開発などもされています。

このように、戦後のものづくりを支えた鉄鋼業は大きな変革を迫られており、現状まだまだ課題は山積みのようですが、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指し、すでに具体的に動き出しています。


いかがでしたか?
今回は、世界における二酸化炭素排出量の現状と、主な包装資材の一つであるスチールに着目し、鉄鋼業界の脱炭素に向けた取り組みについてご紹介しました。

次回も、SDGsに最適な包装資材とは?と題して、包装資材の代表格である段ボール、プラスチック、木材について、それぞれの現状と業界の取り組みについてご紹介したいと思います。
SDGsに最も適した包装資材とは?結論は出るのでしょうか?次回もお楽しみに!

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