SDGsに最適な包装資材とは?②
~木材編~

Vol.133

2022年1月11日

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前回の記事で、世界における二酸化炭素排出量の現状と、主な包装資材の一つであるスチールに着目し、鉄鋼業界の脱炭素に向けた取り組みについてご紹介しました。
今回は木材について、二酸化炭素排出量の現状と脱酸素に向けた業界の取り組みについてご紹介したいと思います。

木材を使用することは環境悪?

「木材を使う=自然破壊」というイメージが永らくついてきました。
前回の記事で、地球温暖化を防ぐためには、二酸化炭素排出量の削減が必須であると述べましたが、樹木は、その二酸化炭素を吸収してくれるものです。
その大事な役割を担ってくれている木を伐採して使うということは、自然破壊というわけですね。
しかし、実はそうとも言えないかもしれません。

樹木は、成長するために光合成をする必要があり、そのために二酸化炭素をたくさん吸収します。
しかし、成長して成熟すると、二酸化炭素をあまり吸収しなくなります。なので、木を伐採せずにそのままにしておくと、二酸化炭素を吸収しないどころか、やがて老齢化して腐朽すると、成長過程で炭素として樹体にため込んでいた二酸化炭素を、再び大気中に放出することになります。

ですから、継続的に樹木に二酸化炭素を吸収してもらうためには、成長した樹木は伐採し、伐ったところに新たに若い樹木を植え、その成長過程で二酸化炭素を吸収してもらうという営みが必要となります。

つまり、成熟した樹木を伐採せずに放っておくことが環境によいとは言えず、森林を守るためにも、間伐が欠かせないのです。

木材はカーボンニュートラルな資材

スチールやプラスチックは、その製造過程で二酸化炭素を排出し、排出させた二酸化炭素を地中に戻す手段も乏しく、廃棄などで燃焼すればさらに二酸化炭素を排出することになり、カーボンニュートラルとはみなされません。

それに対して木材は、成長過程で二酸化炭素を吸収し、製品として使えば、樹体にため込まれた二酸化炭素を固形化して貯蔵し、二酸化炭素を大気中に放出しないことに貢献しています。
木製品を廃棄する際、燃焼すれば二酸化炭素を放出しますが、その二酸化炭素は木材が成長過程で吸収したものであり、元々大気中に存在していたものなので、大気中の二酸化炭素量の増減はありません。したがって木材は、カーボンニュートラルな資材だとみなされています。

収穫期を迎えた樹木は伐採して木製品として活用し、そして伐ったところには若い樹木を植えてまた二酸化炭素をたっぷり吸収してもらう。つまり、間伐を行いながら森林の維持を管理し、木製品を積極的に使っていくことが、二酸化炭素排出量の削減に繋がるということなのです。

木パレット、木箱を使うことは環境悪?と思っていたけど、実はそうではなかったんですね。

森林認証制度

持続可能な森林の利用と保護を図るために、適正に管理された森林から産出した木材などに認証マークを付ける制度も生まれました。

国際的な森林認証制度としては、WWF(世界自然保護基金)を中心として発足したFSCや、ヨーロッパ、アメリカ、カナダなど39か国からなるPEFC森林認証プログラム、また日本の林業団体が発足したSGECがあります。

これらの認証マークの付いた木材を使用することは、二酸化炭素排出量の削減に寄与することになります。


いかがでしたか?
「木材の伐採=自然破壊」のイメージが払拭されたのではないでしょうか。
森林を間伐して間引きながら育て、切り倒して収穫し、再び木を植えて、という日本の古来の林業スタイルが、実は森林の維持、ひいては二酸化炭素排出量の削減に貢献していたのですね。

しかし永らく、環境に悪いというイメージから各産業界において脱木材が促進され、包装業界でも木材は敬遠されてきたように思われます。その結果、「森林を守る」つもりがその実、適切な間伐が行われずに荒廃した森林が増えてしまったというのが現状のようです。

今後、SDGsの流れにより木材が見直され、梱包材、包装資材として、古くから活用されてきた木材が再び脚光を浴びることになるかもしれませんね。

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