改訂JIS Z 0200
包装貨物性能試験内容が改正されました
(2)

Vol.155

2023年10月10日

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9月のインフォメーションでは書ききれなかったJIS Z0200の変更点。ISOとの関連についての経緯は前回紹介しましたが、具体的なポイントを紹介していきたいと思います。

選択肢を増やし、様々な状況に対応

今回の改正ポイントを全般的に言うならば、選択肢を増やしたという事です。一口に物流と言っても様々な場面が想定されます。それらに対応できる試験方法を選べるという事は大変有効な事ですね。下にリスト化しまとめてみました。

振動: ラスト1マイルへの配慮 主に幹線道路を利用する、物流センター間の長距離輸送と、各納品先への短距離輸送(ラスト1マイル)にも配慮、更には悪路に対する試験条件も追加。
落下: 宅配便に考慮BtoC市場の飛躍的な広がりを考慮し、小口輸送や人的荷役作業の増加を意識した内容に変更。
圧縮: 保管環境に配慮さまざまな保管環境に配慮し、選択肢を設定。
その他: 湿度環境試験、低圧試験など単独の試験が追加。

印象的なのは、ラスト1マイルやBtoC市場への配慮や考慮です。私たちの暮らしに確実に広がっているEC市場。物流への影響が大きい事も間違いの無い事実です。JIS規格も社会の変化を確実にキャッチアップしているという事ですね。

あなたの自宅に届く荷物の輸送もラスト1マイルです

ガイドラインでわかりやすく

という訳で、選択肢や試験方法が増えたのが新しいJIS Z0200。選択肢が増えたという事は自由度が上がったという事になる反面、迷いが生じてしまうのも人情。特に大切な自社の商品を安全にお客様に運びたいというは、誰もが同じ思いです。そのような時に「なんでもやっておけば大丈夫・・・」と思いがちですが、そんなことをすると梱包は頑丈になりがち。コストアップにもつながります。

そこで、包装貨物試験の計画(どのような試験をするのか決める事)をガイドする三つの表が追加されました。

  • 表1:物流の過程で予想されるハザード及びハザードを想定した試験方法
  • 表2:試験項目及び対応する試験方法の選択ガイド
  • 表3:選択されたハザード及びそのハザードに対応する試験項目の例

まずは物流環境で発生する可能性のあるハザード例、そのハザードに対応した試験方法、ハザードがあった場合に起こりうる損傷の例が説明されています。三種類も表があって分かり難そうと思った方も安心して下さい。表1には、物流過程で発生するハザードとそれに対応する試験方法がまとめられています。JIS Z0200による試験方法を確認・検討する時は、表1から確認を初めては如何でしょうか?(表はJISでご確認下さい)

物流過程で発生するハザードについては、前回のアイロップインフォメーション改訂JIS Z 0200 包装貨物性能試験内容が改正されました(1)をお読みください。

道しるべがあれば迷う事は少ない

例えば・・・

表はズバリ掲載できませんので、ハザードと試験方法について紹介いたします。

輸送中の振動 飛び跳ねによる繰り返し衝撃

試験方法:ランダム振動試験・正弦波振動試験・固定低振動数試験

急停止又は急発進による水平衝撃

試験方法:水平衝撃試験

人的に荷役・機械による落下試験

試験方法:自由落下試験 等価落下試験 片支持落下試験

というような感じで紹介されています。ここに更にレベルの概念が加わることで、各試験に用いる具体的な数値が定まっていくことになります。

まとめ

今回の内容はいかがだったでしょうか。弊社ではお客様からの設計依頼をいただいた時、注意するのは商品と物流環境です。ダメージの発生を防ぐためには、どのような方法で運ばれるか、どこを通るかなど色々な点を確認させていただきます。これらを確認するのはハザードを予測するためです。様々なハザードに適切な対応を施した包装資材や物流容器をご使用いただくことが効率的な物流の第一歩なのです。

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