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~プラスチック編~
SDGsに最適な包装資材とは?④
~プラスチック編~
Vol.135
2022年3月10日
私たちの生活に欠かせないプラスチック。しかし、、、
プラスチックは、軽くて加工が容易で、強度も耐久性も高く、安価な上に大量生産できるとメリットは多いので、包装資材としても多用されています。しかし、これまでのプラスチックには大きな欠点が2つあります。
その1つは、廃棄後に環境へ悪影響を及ぼすこと。
段ボールのようにリサイクルシステムが確立しておらず、リサイクル率はわずか10%。回収されたプラスチックごみの約80%が埋め立てや自然界(海洋等)へ投棄されているそうです。しかし、プラスチックは埋めても分解されず、だからと言って燃やせば大量の二酸化炭素が発生して地球の温暖化を促してしまいます。
世界のプラスチック生産は1960年代から2019年では約20倍の4億トン/年となり、20年後にさらに2倍の予測がされているそうです。このままでは2050年までに海洋中のプラスチックが魚の重量を上回ると言われており、環境汚染が深刻化しています。
もう1つの欠点は、プラスチックの原料である石油を大量に消費してしまうこと。
大気中の二酸化炭素濃度を安定化させるためには、陸域および海洋における炭素吸収量(約30億炭素トン)と炭素排出量(約63億炭素トン)のバランスをとることが必要であると言われていますが、地球が数億年の時をかけて地中に炭素を固定化する事によって保たれてきた現在までの環境が、ここ数百年の急激な石油資源の消費によって、そのバランスが大きく崩れているということです。
この2つの欠点を克服すべく登場したのが、バイオプラスチックです。
新しいプラスチック「バイオプラスチック」の登場
バイオプラスチックは、「生分解性プラスチック」と「バイオマスプラスチック」に分けられます。
●生分解性プラスチック
従来のプラスチックは、紫外線などの影響などで劣化し分解されても、バラバラになるだけで残存し、完全には分解されません。
対して生分解プラスチックは、土中の微生物の働きにより分子レベルまで分解し、最終的には二酸化炭素と水となって自然界へと循環していきます。
従来のプラスチック
生分解性プラスチック
●バイオマスプラスチック
バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」です。石油資源からだけしか作れなかったプラスチックを、植物など、再生が可能なバイオマス資源によって生産できれば、石油資源の消費の削減と、大気中の二酸化炭素濃度の上昇を抑制することが可能となります。
バイオマスプラスチックの原料は、トウモロコシ等の穀物資源、サトウキビ等から取り出される糖類及びトウゴマ等の植物油類が主体です。
また廃棄後焼却処理をしたとしても、原材料の植物が育成過程で光合成によりCO2を吸収するので、カーボンニュートラルな資材とみなされます。
バイオプラスチックの種類
ポリ乳酸(PLA)など、現在開発されている生分解性プラスチックの多くは、サトウキビ等を原料とするバイオマスプラスチックでもあります。ただし、石油や天然ガスを原料とする生分解性プラスチックもあり、生分解性プラスチックだからといって必ずしもバイオマスプラスチックとは限りません。
一方で、すべてのバイオマスプラスチックが微生物の働きで低分子化合物に分解される生分解性とは限らないということです。
国内におけるバイオプラスチック製品の認証制度
バイオプラスチックの正しい理解と普及を促進するため、バイオプラスチック製品の認証制度が設けられています。
当社もバイオマスプラスチック原料を含有した包装資材を扱っております。
商品詳細はこちら
国内におけるバイオプラスチック出荷量の推移
バイオプラスチックの国内出荷量は年々増加し、2019年度は46,650トンとなり、10年で約4.2倍増加。今後さらにバイオプラスチック供給量は増加することが予測されています。
新規バイオ素材の開発も
プラスチック原料メーカーでは、新しいバイオ素材の開発も進んでいます。
カネカ株式会社が開発したPHBHは、植物油を摂取した微生物によって生産されたポリマーで、自然界に存在する多くの微生物により生分解され、最終的には二酸化炭素と水になるそうです。
土中だけでなく、海水中での生分解を実現できた画期的な素材だということです。
ストロー、レジ袋、食品容器包装材などに既に活用されており、今後の市場拡大が見込まれます。
カネカ㈱ホームページより
三菱ケミカル㈱ホームページより
三菱ケミカル株式会社が開発したDURABIOは、植物由来のイソソルバイド(イソソルビド)が主原料のバイオエンジニアリングプラスチックで、生分解性ポリマーではありませんが、耐久性に優れており、照明やスマートフォン筐体、自動車内外装部材などに使用されており、今後も幅広い分野への展開が見込まれます。
従来のプラスチック製品削減への動き
使い捨てのプラスチック製品の削減を企業などに求める法律「プラスチック資源循環法」が来月(2022年4月1日)施行されます。(法律に関する環境省HPはこちら)
これを受けて大手コンビニ各社は、無料で提供している使い捨てのスプーンやフォークの有料化は当面見送る方針ですが、バイオマスプラスチックを混ぜたスプーンやフォークを導入したり、持ちて部分に穴をあけ、長さも1センチ短くするなどして、プラスチックの使用量を減らす対応を進めています。
ローソンはこれらの対策により、年間およそ67トンのプラスチックの削減を見込んでいるそうです。
また、日本ハムでは、皆さんお馴染み巾着型の袋を採用していたシャウエッセンのパッケージを、プラスチックの使用量を減らすために長方形に変更し、そのパッケージの変更を周知するために作られた動画「シャウエッセン断髪式」が話題になっています。
感動!!
涙の「シャウエッセン断髪式」動画はこちら
このパッケージ変更によって、プラスチック使用量を28%減らすことができるそうです。
いかがでしたか?
今回は、包装資材に限らず私たちの生活に欠かせないプラスチック素材について、SDGsの視点から述べてみました。
SDGsの視点から見ると、まだまだ克服するべき課題のある素材であるとは言えますが、バイオプラスチック普及の促進と、地球環境に悪影響を与えない新たな素材の開発が進められていることに希望を感じました。
包装資材においても、バイオプラスチックが当たり前のように使われる未来が近いのかもしれませんね。
以上、SDGsに最適な資材とは?と題して、4回に渡り連載して参りましたが、今回が最後の記事となります。何かのご参考になれば幸いです。
過去記事はこちら
SDGsに最適な資材とは?①~スチール編~
SDGsに最適な資材とは?②~木材編~
SDGsに最適な資材とは?③~段ボール編~
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